副業ワーカーの活用の未来と課題

石川 貴志様

今回は”個人と組織のよりよい関係性を創造すること”をビジョンに、副業ワーカーを中心に様々なイベント・勉強会の開催、また企業・行政と連携したプロジェクトをしているワークデザインラボの代表理事の石川貴志様(以下敬称略)と村上茂久様(以下敬称略)に”日本の副業ワーカー業界の現状とその課題”についてインタビューをさせていただいきました。


ワークデザインラボ 代表 プロフィール

一般社団法人Work Design Lab代表理事/複業家 石川 貴志様

 

リクルートエージェント(現リクルートキャリア)の事業開発部門のマネージャーを経て現在、大手出版流通企業の経営企画部門にて勤務。2012年より社会起業家に対して投資協働を行うSVP東京のパートナーとしても活動。2013年にWork Design Labを設立し「働き方をリデザインする」をテーマにした対話の場づくりや、イントレプレナーコミュニティの運営、また企業や行政等と連携したプロジェクトを複数手掛ける。2017年に経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出事例集」選出。2018年にAERA「生きづらさを仕事に変えた社会起業家54人」選出。(公財)ひろしま産業振興機構の創業サポーターや、(独)中小機構が運営するTIP*S アンバサダー、順天堂大学 国際教養学部グローバル・ヘルスプロモーション・リサーチセンターの客員研究員なども務める。1978年生まれ、三児の父。

一般社団法人Work Design Lab 村上茂久様

1980年生まれ。経済学研究科の大学院(修士課程)を修了後、金融機関でストラクチャードファイナンス業務を中心に、証券化、不動産投資、不良債権投資、プロジェクトファイナンス、ファンド投資業務等に従事する。2018年9月よりGOB Incubation Partners株式会社のCFOとして大手企業や地方の新規事業の開発及び起業の支援等をしている。加えて、複数のスタートアップ企業等の財務や法務等の支援も実施している。プライベートでは、Financial Education & Designを立ち上げて事務局長として、過去10年間で経済や金融に関する勉強会や読書会の企画・運営等を300回以上実施している。Business InsiderのBI primeにおいて「会計とファイナンスで読むニュース」を連載中。

 

副業ワーカーと企業を支援する「ワークデザインラボ」とは?

石川「ワークデザインラボはメンバーが90名ほどいて、その全員が副業ワーカーである団体です。主に首都圏では副業ワーカーが副業を始める際のサポート、社員に副業などの新しい機会を提供したい企業への支援をさせていただいており、地方では近年増えてきている副業ワーカーと地方の企業や自治体をマッチングさせるなどの事業をやっております。私自身も会社員をしながら、副業としてこちらの事業をやってきました。」

 

―ワークデザインラボではどういった課題解決をしているのですか?

 

石川「企業に対しては首都圏、地方関係なくさまざまなソリューションを提供させていただきます。経営者が感じる課題と、実際我々が参画して感じる課題はずれていることも多くあるので、まずはじっくりヒアリングをし、それがマーケティングにあるのか、ファイナンスにあるのかなどを特定していき、副業ワーカーに参画していただきます。また新規事業の支援なども行っています。

地方の活動としては、地域の経済を活性化させるため首都圏の副業ワーカーと地方の中小企業連携をしたり、地域創生のため地域の活動に参加したりして関係人口を増やしたりしています。」

 

―我々自身、副業と言っても身近な経営者の方からいただくくらいで、普段の生活の中では地方の方々と接点を持つことがほとんどもっていないのですごく興味深いです。

 

石川「同時に地方の方々も、他の地方や首都圏の方々と接点を持つことに対して興味を持っていることが多いです。ワークデザインラボとしては、「本業がある」「どれくらいの規模で動くのかが分からない」といった不安を持った人々がいる中で、いきなり副業の話を持ち込むのではなく、まずは気軽にお話しからといった形でプロジェクトに参加していくので、負荷なく副業を始められるようになっています。全体として、地方に興味がありジェネラリストのように何でも出来る大企業の人が、期待値を上げず、緩やかにプロジェクトが始めている印象です。」

 

―特定の業務にスポット的に参加する一般的な副業のイメージとはずいぶんと違い、初心者の副業ワーカーも気軽にプロジェクトに参加できそうですね。

 

NPS調査のアプローチ

 

日本の副業ワーカーの現状

ー少し抽象的になりますが、日本の副業ワーカーってどのくらいの数がいるのでしょうか?あるデータによると6人に1人がしているということになっていますが。

村上「最近目にした中小企業白書では、数百万人となっていましたが、これはフリーランスを含め、アルバイトを副業としたデータでした。ただ大企業などで公式に副業を許可しているのは全体の2~3割、その中で実行率が2%ほどなので、まだまだ流動している人が少ないといった印象です。やはり、副業というものは、お金を稼ぐと言うことに加えて、お金以外の非金銭的価値(スキルの向上や人脈の広がり等)を見出さないと業界構造上始めようとは思わないものなので、まだまだ流動していない人が多くいるのだと思います。副業というもののイメージが人によってずれていることも多く、以前石川さんとワークデザインラボで某企業の副業研修に登壇した時に、一発目の質問が「非金銭的価値うんぬんではなく、どのようにしたら稼げるか知りたいです」だったことがあります(笑)。副業でスキルの向上や人脈を広がりを求める人がいる一方で、直近の金銭のためだけに動く人もいます。こうした副業に対するイメージの違いをどのようにして共通認識をもっていくかが今後重要になってくるかと思います。」

 

 

副業ワーカーの業界課題とよくある失敗

 

―おのおの副業ワーカーとして働いてきたことや、ワークデザインラボを運営してきた経験をもとにこの業界の課題は何だと思いますか?

 

村上「私は以前銀行に勤めていたころ、社会全体として「副業」というものが浸透しておらず、勉強会などを主催はしていたのですが、やりずらさはかなり感じていました。自分がどこかこそこそやっている感覚があり、上司や同僚にそのことを知られたときは後ろ指を指された気分になりました。やはり会社や社会の風潮がそのような感じだと、副業のやりにくさはあることに加え、心理的安全を組織内でもてないと本業務も全力で取り組むことが難しくなると言うこともあるかもしれません。副業が国主体で認められてきている今の時代でも、空気的に取り組みにくいといった課題はあると考えております。その結果が先ほど挙げた日本の副業ワーカーの人口の少なさに表れていると思います。」

 

ー銀行マン時代もっとこうしておけばよかったなといったことはありますか?

 

村上「実際、企業から副業をやってはいけないと言われていたのではなく、社内の空気としてなんとなくやりにくいものになっていたと思うので、社外で企業に勤めながら副業をしている仲間を見つけることが大切だったと思います。やはり自分と同じ境遇の人を見つけると、今後どうすればよいかの道筋も見えてきますし、お互い切磋琢磨できるような関係になるかと思います。」

 

―その他、よくある失敗などはありますか?

 

石川「コミュニティ型の組織ではすぐに対応できる人材リソースがあまりいません。それは本人の能力というわけではなく、本業を持ったうえでワークデザインラボに参画し副業をしている人が大半だからです。なので、我々の経験則上コミュニティ型の副業は納期などをガチガチに設定し、コミットさせすぎるとプロジェクトが失敗します。もう一つは、副業ワーカと先方の認識や期待値のズレなどによる失敗です。発注者は、副業ワーカーだからあまり稼働できないとわかりつつも、お金を少なからず渡すわけなので相手を拘束しようとします。その結果、副業ワーカーが離れてしまうといったケースも多いですね。」

 

―確かに本業があっての副業ですので、その兼ね合いは難しいですね

 

石川「また、副業ワーカーを起用し3ヶ月間プロジェクトを行ったが、問題の本質はそのプロジェクトで解決できるものではなく、プロジェクト中止を検討したこともあります。その時、副業ワーカー一人だとどうしても自分を責めて自然と離れていくといったケースが多いですが、ワークデザインラボとしてはチームとして入るので、臨機応変に違う人材を起用することができます。」

 

―副業ワーカー単体だと、組織に問題があった時にどうしようもなく、少しずつシュリンクしてしまうケースがよくありますね。終わりも後味が悪く、気まずいような。。

 

石川「逆に、単体で副業ワーカーを雇いうまくいかなった企業さんからチームとして参 画してくれないかと相談されたこともあります。これは大切なポイントだと考えておりま す。

その他に失敗かどうかわかりませんが、地方や、中小企業側が大企業出身の副業ワーカーを扱えばよいかといった問題もあります。社内と社外ではチームを創るための力学が違うことを理解し、柔軟に変化できる副業ワーカーが今後重宝されると思います。」

 

 

ワークデザインラボの取り組みと今後の展望

 

石川「私たちのビジョンの一つに「生き生きと働く大人で溢れる社会、そんな大人たちを見て子供たちが未来に夢を描ける社会を作りたい」というものがあります。私はこのビジョンを達成するために、現在日本の大人の大多数を占めている会社員というものの働き方を大きく変える必要があると考えます。ワークデザインラボは大人たちに積極的にアプローチし、「副業」という選択肢について考える機会を提供している感じです。副業は、誰かの指示ではなく、自らの意思でやるものなので「やりたいことをや る」という意味において”生き生き”という言葉につながりやすいかと考えています。

ただ、副業人材マッチングはマッチングコストがかかる割に単価が安いため、ビジネスとして成り立たないせることは厳しいと感じます。我々は仲介するのでなく、あくまで企業や会社員が変化するための考え方や方法論、体験機会を提供することを価値として事業しております。」

 

―個人と企業の受け入れの畑を耕していっている感じですね。

 

石川「そうですね。特に受け入れる企業側の体制を整えることに注力しております」

 

村上「私自身も”生き生き働く”っていう言葉は今後の日本の社会にとってキーワードだと考えています。今日本の平均年齢が約47歳という中で、生き生き働く47歳はそれほど多くないかもしれません。やめたくて、転職しようにもできる年齢ではなく、まだまだ仕事をしなければ生きていけない47歳という年齢。そんな競争社会で疲弊した大人たちに「副業」というものは金銭に関わらず、”生き生きと働く”という新しい価値を提供していってくれると信じております。」

 

―働いている方々に非金銭的価値をどう見出してもらうかはまーけっちでも目指すところではあります。今回は貴重なお話どうもありがとうございました!

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◆著者プロフィール

◆著者プロフィール

フリーランス 松本敦貴

中央大学法学部在学中。一年時よりWEBマーケティング企業でインターンを経験し、フリーランスとして独立。現在はWEB、SNSの広告運用、個人としては飲食店の集客全般の支援、WEBライターとして活躍している。広告では、クリエイティブの作成、記事・動画作成、運用、改善まで幅広く手掛け、ROAS200%超えの広告を数多く担当。

 

 

◆代表プロフィール

株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 山中思温12-217x300.jpgマーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。
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