事業を成功させるコツは、成功よりも失敗の活かし方にある / VOYAGE GROUP宇佐美氏 インタビュー(前編)

 

何故失敗するのか?
事業を成功させるコツは、どこにあるのか?

失敗を生かし、成功率を上げるには?

今回は、数々の事業を成功に導いてきた、
株式会社VOYAGE GROUP代表取締役社長兼CEO、CARTA HOLDINGSの代表取締役会長の宇佐美進典氏に、新規事業を成功させるコツについて、お話を伺いました。

宇佐美進典氏はトーマツからベンチャー企業に転職した異色の経歴を持っています。
「ECナビ」や「PeX」といったポイントサイトを立ち上げ、利用者の累計ポイント発行額100億円を超える実績を生み出した経験がある事業家です。

宇佐美 進典氏

VOYAGE GROUP  代表取締役社長兼CEO 宇佐美 進典氏

早稲田大学卒業後、トーマツコンサルティング(現デロイトトーマツコンサルティング)などを経て、1999年にアクシブドットコム(現・VOYAGE GROUP)を創業。2005年〜2010年までサイバーエージェントの取締役も兼務し、メディア部門副統括・技術部門担当役員としてアメーバの成長等に携わり幅広く経営の実務を経験する。2010年からはVOYAGE GROUPの成長にフルコミットし、2014年東証マザーズ上場、2015年東証一部上場。直近ではCCIとの経営統合により発足したCARTA HOLDINGSの代表取締役会長に就任。





のべ750万人利用するポイントサイトを生み出した宇佐美氏のビジネス哲学

山中思温(編集部)[聞] (以下:山中) : 宇佐美さんはビジネスで成功させるコツとして、「失敗」が最も大事だと考えているそうですね。
成功事例よりも失敗事例と向き合うことが重要だという考え方を組織にも浸透させているのでしょうか?

宇佐美進典様宇佐美 進典氏 ( 以下:宇佐美): はい、そうですね。

山中  : 失敗を他のことに転用しやすいからですか?

宇佐美 : 転用とは少し違いますね。事業の経験というのは、それに携わった人が「あれやればよかったな」とか「もっとこうすればよかったな」と考えることが多いので、その経験はその人固有のものになってしまいます。
しかし、それではよくありません。
事業を作っていく中で、その人が経験したことを他の人が活かせるように組織としての知識に変えていかなければなりません。
同じ失敗を違う人がしてしまうと会社としては、時間も費用も無駄になってしまうからです。
特に、新規事業では似たような失敗が起こりがちです。
あるチーム、事業で失敗した経験を社内に共有することによって、
同じ失敗を繰り返さないため、失敗事例やなぜ失敗したのかというのを共有するようにしています。

山中 : なるほど。組織という視点で、同じ失敗が起きないようにするということですね。

宇佐美 : あともう1つは失敗の本質を見極めることです。
自分たちが失敗だったと思い込んでいたことが本当の原因ではないということもあります。あらためて振り返ってみるともっと違うところに失敗の本質や原因があることもあり得ます。
だから、時間を置いて振り返ることで、失敗の本質的なところはどこだったのかというのをちゃんと言語化していくようにしています。

山中 : 自分たちは気づいてないけど、他のチームから見ると本当の要因はこっちだったのではないかということがわかるのですか?

宇佐美 : はい。どうしても自分たちで振り返りしていくと一つの視点にハマりやすいですが、一歩引いて他の人とディスカッションしていくことによってより本質的な、自責としての振り返りになりやすいんですよね。
「競合が出てきたから上手くいかなかった」などという他責の結論になってしまうと、意味がありません。結局、次はどうすればいいかがわからず、失敗を活かせないんですよね。

山中 : 自分事にしてアクションが変わらないというところですね。ありがとうございます。


失敗と成功を区別する

成功と失敗
山中 : 成功と失敗のイメージをお聞かせください。例えば自分は失敗だと思ってないとかありえると思うんですけど、
撤退ラインを引いて、そのラインまでいったために撤退するというようなことは、失敗に含まれるのでしょうか。


宇佐美 : 撤退ラインは事業によって変わってくるので、一概には言えませんが、そもそも撤退ライン以前に失敗の本質があるということもあります。
例えば、新規事業で撤退したのは事業の運営を失敗したからではなく、本当に市場があるのか、課題が存在しているのかといった検証ができていなかったということもよくあります。
それに、市場や課題があったとしても組織がガタガタだったということに気づかず、うまく運営できないまま失敗するといったこともあるでしょうね。

山中 : 市場があるかという仮説検証はかなり難しいと思うんですけど、視点や検証の段階で気を付けるべきポイントはありますか?
仮説検証の仕方も人によって変わりますよね。調べる人によって質問項目が全然違ったりすると思うのですが。

宇佐美 : 最初にやるべきはヒアリングですね。関係者や業界の方にヒアリングをすることで、仮説を立てた課題や市場があるというのを
確認するべきでしょう。
その後にプロトタイプを作り、アンケートを取るという形でもいいでしょう。


山中 : 定量と定性のアンケートはどちらを大事にしていますか?

宇佐美 : 定量より定性のデータ、つまり、ストーリーが大事です。
市場環境があり、そこが伸びていて、競合も伸びていくと思いますといえば、
社内の人間はだいたいのことをわかっていますから、聞いてるほうもわかりますよね。だから、定量的なデータ見せて「ほらアンケートこうなりました」みたいな、詳細な調査を実施しなくても、「いけそうだ」と判断できるからです。

事業の成否は「人」にかかっている

山中 : 宇佐美さんの記事では、うまくいくときもうまくいかないときも、人が重要だと仰っているものをよく拝見します。

宇佐美 : そうですね。上手くいくときの最も重要なポイントは情熱ですね。最適な市場を選択し、情熱を持っている人が取り組まないといけません。

山中 : その情熱を持っているかどうかというのは、どうやって判断すればいいのでしょうか?

宇佐美 : 事前にはわかりませんよね。一緒にやってみることで、初めて見えてくるものがあります。

山中 : 年齢は関係あるのでしょうか?

宇佐美 : あくまで割合の問題ですが、若い人の方がそういう情熱は持ってるなと思いますね。

山中 : なるほど。それは、理由があるのでしょうか?

宇佐美 : スキルや能力、経験があると、次のことを想像できますよね。だから、情熱を持って取り組むよりも、冷静に自分の能力をどうやって生かせばいいだろうと考えている人が多いです。
逆に若くて未経験だと、がむしゃらに頑張るしかありませんよね。それが成功につながる情熱になるのです。

山中 : 若い人がたくさんいる組織のほうがよさそうですね。 

宇佐美 : 本来はそうあるべきだと思います。ですが、未経験の人ばっかり集めても回らない部分もあるから、事業の種類から全体的に判断したほうがいいでしょうね。

組織を成功に導く「情熱」の生み出し方



山中 : 徐々に情熱が出てくる人も見てきましたが、そういう人はどうやって情熱を自分で育てているのでしょうか? 

宇佐美 : 仕事をしていくうちに、ということはもちろんありますよ。それよりも、伝染ですね。今の若い人たちには古いっていわれるかもしれませんが、トップの人が背中を見せてやっていくというのが情熱を最も組織に伝搬させやすいです。

山中 : 頑張っている人を見ると、自分も頑張りたくなるように、環境がすごく大事だっていうのはよく聞きます。


宇佐美 : そうですね。一方で、スタートアップだと、最初は意識しなくても情熱があります。

1~2年間くらいは結果が出なくても、「俺ら頑張ってるぜ」みたいなっていうのだけで
引っ張れます。だから、この創業期の魔法がかかっている状態のなかでいかに頑張り、結果を出していかなければならないかが大事なんです。

この間に課題の設定をうまくしたり、商品やサービスを市場に出して改善をおこなって最適なものにし、
それを伸ばしていかなければなりませんね。

山中 : 最初の1~2年でトップの熱量を見せて、それをメンバーに伝えていかなければならないんですね。

宇佐美 : 仰る通りです。

山中 : でも、自分が打ち立てた事業に興味がある人は少なく、さらに熱量があるっていう人は少なくありませんか?


宇佐美 : そこでトップとして大事になるのは、自分の会社に興味を持ってくれない人をどうにかして口説いて、来てもらうことが必要になってきますね。

山中 : そうですね。なかなかハードルは高そうですが。

宇佐美 : はい。会社の実力が出ないときに能力の高い人に来てもらおうとしても、普通に考えたらそういう人はもっといい条件でもっといい会社に入るわけですよね。

でもいい条件で入る人をもっと条件悪いんだけど、そこを一緒に頑張ろうよってトップが思いを乗せて口説くしかないですよね。

すごい熱量を持って行動できて、優秀でコミット力も高い人を口説けるような存在がトップにいると 強力なチームになってきますよね。一方で、ある程度妥協した条件に合う取れる人を取って、その後、なんとか変えていこうみたいな ことをしても、人ってそんなに変わりませんし。

山中 : 本当に。痛いほどわかります。 

宇佐美 : 創業者共通の悩みだと思います。
だから自分たちよりもいかに優秀な人をどう採用するのかってことを意識してやっていかないと。

山中 : そうですね。宇佐美さんもボヤージューー創業期は名前が違いますが――の立ち上げの時は、人を口説いてきたんですか?

宇佐美 : してこなかったから、苦労した期間が長かったです。それこそ、失敗してから気づきました。

山中 : いい人を見つけるのはどうすればいいのですか? 出没しそうな場所に出かけていくということでしょうか。

宇佐美 : それも1つの手ですが、すでに知っている人の中で、優秀だったり、自分がいつかあの人と一緒に働いてみたいなって思う人に声をかけていくのがいいですよ


山中 : そうなんですね。

宇佐美 : 例えば、恋愛でも街中でナンパして付き合うよりも、
高校、小学生の時の同級生で一番可愛い子に告白して付き合うほうが安心できるでしょう。その人をよく知っているので。

山中 : 実績を知っているというのは大事ですよね。


ー続きは「中編:伝える「抽象度」を上げて成功率を上げる とは?」にて

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◆著者プロフィール

株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

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マーケティングリサーチのプラットフォームの企業で、 最年少で事業部を立ち上げ、広告予算ほぼゼロで、国内トップの実績を達成。

中小・スタートアップ企業のマーケティングに関する構造的課題を痛感し、それを解決するため、株式会社まーけっちを創業。大手企業・国家機関・スタートアップなど100社以上の戦略支援を行い、コミットと売り上げ貢献成果に定評がある。上智大学外国語学部卒。




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