市場のプレイヤーを調べ尽くすと勝ち筋が見える

*本記事は 高橋龍征氏のnote記事をご本人の許諾を得たうえで加筆/転載した記事となります。
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目に見える競合だけでなく。自社が関連する市場のプレイヤーまで調べ尽くした経営者や事業責任者はどれくらいいるでしょうか。

目に見えている競合比較や既存市場を中心とした調査だけではありません。

関連する業界の各プレイヤーの見方に立って、全てのプレイヤーを洗い出し、深掘りして分類していきます。

すると、一面的な全体像ではなく、多面的かつ深く市場を捉える見方を得られます。

自社を顧客、競合、取引先、提携先、投資家などの視点で客観的に分析すれば、自社の競争上の強みや弱みも分かり、勝ち筋やリスクも自ずと見えてきます。

カオスマップ作りを通した、そのような「多様な視点で調べ尽くす」の実際と効果について、具体的にご説明します。

 

単純作業以上の学びにする

 

カオスマップとは、「業界の商品やサービスをカテゴライズして一覧化したもの」と定義されます。

 

画像1

(出所:シューマツワーカー

 

より具体的にいうと、特定業界の全体観を伝えるために、範囲内にある主要プロダクトのロゴを、それを読み手に意味あるよう区分して1枚のスライドに載せた、フレームワークの1つです。

市場の全体像を把握する最初期段階で作られるものですが、見てすぐ「お役立ち」が分かるので、自社のPR目的でスタートアップが公開することも多いです。

これを作るには、ある業界の様々な立場のプレイヤーを読み手として想定し、その関心に基づいて範囲を定め、調べ得る限りのプレイヤーを洗い出し、読み手に意味ある観点で分類する必要があります。

その際、自社の関心と見ている範囲で調べても、知っていることが可視化された以上のものにはなりません。

また、リストに基本情報を情報の転記をするだけなら、AIやロボットに取って代わられる単純作業でしかありません。

自分の業界だけでなく、隣接する業界、その業界を顧客とする専門職や投資家など、多様な立場を想定し、各々の関心に基づいて掘り下げていくのです。

得られた情報の断片から仮説を立てて検証し、示唆を得るまでしなければ、価値あるものにはならない、ということです。

 

多様な視点を検証していく

 

具体的にどうするのか。

各業界ごとに、上に述べたような、立場や関心が異なるプレイヤーがいます。

そういったプレイヤーの関心を念頭に置きながら、1つ1つのサービスや企業を掘り下げていくのです。

その際、調べる手を動かしながら、以下のようなことに考えをめぐらせ、分かる情報だけで仮説を立てます。

 

⚫︎誰のどんな困りごとや欲望を解決するために、どのような商品を、どう売って、どんな対価と付加価値を得ているか(ビジネスモデル)
⚫︎誰から何を仕入れ、どんなプロセスでどんな付加価値をつけて、どんな商品にして、誰にどう売っているのか(バリューチェーン)
⚫︎どんな客層があり、それぞれにどのような課題や購買行動の違いがあり、どういった理由で、そこの中の誰に絞って商売しているのか(セグメント・ターゲット)
⚫︎この会社が実際に戦っている相手は誰と誰か、外部から見る限り、どちらがなぜ、どれくらい優勢なのか
⚫︎自社の強み・弱みを踏まえて、どのように勝てる/負けない構造を作り上げているのか(ポジショニング)
⚫︎それら既存の儲けや他に対する優位を脅かす競合の戦い方や環境の変化は何か(市場トレンド)

 

もし、より深く構造を理解するために、裏を取る必要があれば、更に記事などを検索して、自分が考えた仮説を素早く検証します。

こういったものを、色々な立場の視点に立って繰り返していくと、徐々にある範囲を、立ち位置の異なる様々な事業の当事者の観点で、自分ごととして分析することができるのです。

 

相手の立場に立つ
〜営業、競争、提携、投資

 

相手には、何がどう見えていて、それをどう解釈し、どんなことを狙って、今こんなことをしているのか。

相手の視点に立てば、自社の打ち手も変わります。

 

営業の観点

 

相手がどんな目的で、何をどのように買っているか。

それが分かれば、その相手のどんな困りごとにどう訴求して自社のプロダクトを売ればいいか、売り方が見えてくるでしょう。

 

競争の観点

 

市場の構造や行く先をどう捉えるか。
自社の強みをどう定義するか。
競合や代替品は何で、どこがどういう分野でどう強く、その構造がどう築かれていて、どこがその相手の競争上のアキレス腱なのか。
そこを攻めるには、どんな特徴を持った者が、どんな戦い方をすればいいのか。

そういったことを相手の視点で考えれば、その相手が誰に対してどんな戦い方をするか、予想が立つでしょう。

 

提携の観点

市場構造変化や自社の変質の中でどんな構造的な弱みが生まれたのか。
それに対して、どのような打ち手が必要と考えいるか。
それを具体策として実現するには、どんな相手とどういう補完関係を築くべきか。

相手のシナリオが見えれば、自社のどんな強みをどう築き、それを相手の誰ににどうに伝えれば、魅力に感じて手を伸ばしたくなるのかが分かるでしょう。

 

投資の観点

 

「素人」が見るより細かく見た時、当事者しか気づいていない、困り度合いが強いけれど解決されていない分野が事業機会として立ち上がりつつあり、自分達がそこを優位に攻めていることを示せれば、興味を持ってもらえるかもしれません。

 

自社の勝ち筋が浮かび上がる

 

これらは市場のプレイヤーを多面的・網羅的に調べ、深堀り尽くすことで自ずと見えてきます。

その思考訓練を積み重ねることで、1つの世界に対する多面的で深みある全体観を持つことができます。

そうすると、それぞれの相手から見た自社の魅力や、強み・弱みも浮かび上がり、勝ち筋も見えてくるでしょう。

 

考えて調べる

 

網羅的に調べるのは、作業としては極めて単調です。

手を抜けば、表面的な検索ワードを組み合わせ、出てきた企業の決められた項目を転記すれば、形だけのリストができます。

そこから示唆は得られないでしょう。

書かれていることの裏側、敢えて言っていないこと、異なる場所にある情報の断片を組み合わせて分かること、そこから浮かび上がる、各当事者のものの捉え方と狙いまで考えながら、手を動かしてみます。

そうすると、自社が依って立つ市場の、静的な構造だけでなく、それぞれの思惑と、動的な綱引き、大局的な流れも見えてきます。

 

 

◆執筆者 高橋龍征 / Takahashi Tatsuyuki

conecuri合同会社 代表 WASEDA NEOプロデューサー 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授

大手システムインテグレーターの営業、経営企画を経験後、MBAを経て、ソニー、Samsungで事業開発を中心としたキャリアを歩み、事業創造支援家として独立。インキュベーター立ち上げや欧州企業の日本進出を支援後、スタートアップ共同創業(取締役COO)を行う。

早稲田大学の社会人教育事業「WASEDA NEO」プロデューサー就任を機に、事業開発や人材育成のためのセミナーづくりを本業とし、大学、企業、メディアからの受託や自身主催で、年間200件の企画を実現するようになる。

2020年、conecuri合同会社を設立。マーケティングセミナーの企画、社会人向け講座や企業研修の開発、それらを通じた事業創造を支援している。

新型コロナを機に、セミナーを一気にオンラインにシフトさせ、その知見を『オンライン・セミナーのうまいやりかた』として出版した。

また、13年以上複数のコミュニティ運営に携わる実践家として、大手企業や学校のコミュニティづくりも支援している。

早稲田大学 第一文学部 哲学科 東洋哲学専修 卒業 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科 修了 青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム 修了 JVCA ベンチャーキャピタリスト研修 修了

 

 

◆著者プロフィール

株式会社まーけっち 代表取締役社長 山中思温

マーケティングリサーチのシステムとデータの提案営業を経験後、 最年少で事業部を立ち上げ、若年層国内ナンバーワンのユーザー数を達成。
リサーチの重要性と併せて、コストや施策への活用の課題を痛感し、中小・スタートアップでもリサーチやマーケティング施策の最適化をより手軽に利用できるようにする為、リサーチ×マーケティング支援事業の”株式会社まーけっち”を創業。

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